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抄録 2016年度 卒業論文 | 筑波大学 情報学群 | 知識情報・図書館学類

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Academic year: 2018

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近年の学校、特に中学・高校での子どもたち同士の関係性について、教室内で形成される グループに焦点を当てた研究が盛んに行われてきた。宮台(1994)は、教室内がグルーピン グされた状態を、対等な力関係で交流がない「島宇宙」とした。これに対して、鈴木(2012) は同学年の児童・生徒間で共有される「地位の差」に着目し、教室内グループの序列づけを 指摘した。そこから鈴木は「スクールカースト」の実証的研究を行った。

鈴木の研究は「現在の『スクールカースト』の実態」と「『スクールカースト』を振り返 った現在の意識」を混在させて分析している。そのため、鈴木は「スクールカースト」の構 造を解明できたわけではないと言える。したがって私は、「スクールカースト」の実態と意 識を区別し、その構造の解明への一助となるよう意識の側面からのみアプローチした。

本研究の目的は、「スクールカースト」の生成過程を、現在から過去を振り返った意識の 側面からモデル化することである。本研究では「スクールカースト」を子ども時代の個人的 な意識として回顧的に扱う。

20 代の調査協力者(以下、協力者)6 名へ半構造化インタビューを行った結果、意識の側 面からも、「スクールカースト」は同級生へのグルーピングと序列づけという二側面で成立 していると再確認できた。また、当時の同級生からの評価を推測すること(以下、「評価の 推測」)と、協力者の「スクールカースト」への意識が結びついていることが明らかになっ た。さらに、幼少期に転校したり所属学校外の人員で構成される準拠集団を持ったりした経 験がある者たち(以下、経験者)より、ない者たち(以下、非経験者)の方が、「スクール カースト」の有無や容態に関する意識が変化する経験が多かったことが明らかになった。 非経験者は、経験者以上に同級生と幼少期から長い付き合いとなるため、より詳細な「協 力者独自の評価(以下、「独自評価」)」を構築できた。さらに非経験者は、繰り返し「独自 評価」と同級生たちが行う評価の間に齟齬を感じる出来事を経験し、「評価の推測」を経て 「独自評価」がたびたび再構築された。それによって、非経験者は、経験者より「スクール カースト」の有無や容態に関する意識が変化してきたと考察できた。また、協力者全員が齟 齬を感じる出来事を通して、協力者自身・同級生への「評価の推測」の頻度を高めた。協力 者は、同級生個々人単位での「評価の推測」の結果をもとに、教室や学年などより大きな単 位での「評価の推測」をし、同級生へのグルーピングと序列づけを行った。そして、協力者 は「スクールカースト」を意識の上で作り上げたと考察できた。

協力者の意識の側面から「独自評価」と「評価の推測」という軸で「スクールカースト」 の生成過程をモデル化できた。

(指導教員 後藤嘉宏)

意識の側面からみた「スクールカースト」の生成過程への考察

現在の調査協力者の視点で教室を振り返って―

参照

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